truth
第34話 決着
「さっさと自首しろ。」
「い、意味が分からんな。何で私が・・・」
「もう何を言っても無理ですよ。あなたが今俺に話した事はすべて
リアルタイムにある人に聞かれてるし、全て録音されてるからね。」
俺はスーツの上着を捲り内ポケットに隠してたボイスレコーダーとマイクを
石川に見せた。
「俺に要望を聞いた時点で俺が話したことを認めたのと同じことだよ。
とにかく悪い事は言わないから自首しなよ。
俺の連れ、マスコミ関係だしネット使ってあなたのゴシップ
流すのなんて簡単だから。証拠あるのに名誉棄損もないでしょ?
逮捕されるよりも自首した方が刑期も軽くなると思うけど。」
「た、頼む!金が欲しいなら用意する。大野の告訴も直ぐに取り下げる。
だからマスコミだけは勘弁してくれ。」
「うん、いいよ。だけど嘘付いたら直ぐにネットで拡散するから。
おたくらみたいな商売の人は世論を敵に回した方が致命的なんだよね?
あ、それから俺と大野さんを消そうものなら直ぐに容疑者になるから
無駄ですよ?」
石川は顔面蒼白になり俺の目の前で項垂れた。
俺の勝ちだな・・・
俺は石川を残してホテルの駐車場で待ってる相葉さんの元へ急いだ。
「お待たせ。どう?うまくいったでしょ?」
「うん、お見事だったね。」
「さあ、戻りましょう。これであいつももう逃げも隠れも出来ないよ。」
「でも、ニノが危険じゃない?今後命狙われるかもよ?」
「大丈夫だよ。そんな事してもどうにもなんないの分かっただろうからね。」
「これって、記事にしていいの?」
「あ、うん。大野さんが無事に釈放されたらね。」
「するかな?」
「するでしょ。」
「逃げないかな?」
「逃げても無駄でしょ。その為のSNSだって松本さんが言ってた。」
「松本さんって弁護士でしょ?面白いよね。
騙して脅して自首を勧めさせるなんて・・・」
「議員相手に普通に説得しても、高額の金使って有能な弁護士を雇って
色々事前に揉み消されるって言ってた。
名誉棄損を盾に逃げ切るパターンが多いらしいの。」
「なるほど。確かにそうかもね。」
「まぁ、自首するかどうかは分からないけど、大野さんは釈放して貰えるでしょ。」
「自首しなかったら、マジで狙われるよ。」
「だとしてもSNSで流せばあいつ終わったのと一緒でしょ。」
「まあね・・・」
「人を殺してるのに、のうのうと暮らして議員か何か知らないけど
偉そうにして生きてるのは許せないよ。」
「とにかく今夜は念の為うちに泊まりなよ。
一人で自宅に帰るのは止めた方がいいよ。」
「えっ?大丈夫ですよ。心配し過ぎだよ。」
「ダメダメ!石川がどんな手使ってくるかも分からないんだからね。」
「心配性だなぁ・・・」
「あ、その代わり一緒に暮らしてる人が居るんだ。
それは我慢してよね?」
「え?相葉さんって独身じゃなかった?」
「あ、独身は独身だけど・・・」
「恋人と同棲してるの?」
「ま、まあね・・・」
「だったらいいよ。遠慮する。」
「ニノも知ってる人だから、大丈夫だよ。」
俺が知ってる人?
誰だろう・・・
半ば強引に相葉さんのマンションに泊まる様にと連れて来られ
玄関を開けた瞬間、俺の知ってる人が俺と相葉さんを出迎えてくれた。
「お帰り。」
「翔ちゃん、ただいま。」
「ええっ?櫻井さん?」
「二宮さん、いらっしゃい。お疲れ様でした。」
「翔ちゃん、ニノでいいよ。二宮さんは固過ぎるよ。
今夜はニノをここに泊めるけどいいでしょ?」
「あ、うん。是非そうした方が良いね。」
「驚いたでしょ?」
「ふ、二人って、そういう関係だったの?」
「雅紀、音声データちゃんと録れてるか?」
「あ、うん。大事な証拠だから翔ちゃん保管しといて。」
「OK。ニノ、今夜は僕の部屋で寝ると良いよ。
僕は雅紀の部屋で寝るから。」
「う、うん///」
ま、雅紀って・・・
相葉さんと櫻井さんがそういう関係だったとは全然気付かなかったから驚きだった。
確かに最初から仲が良いなとは思っていたけど。
「もぉー翔ちゃんったら、何時も俺の部屋で寝てるくせにー」
相葉さんは好きな人と一緒に居れて本当に幸せそうだ。
「ニノ、いつかはゴメンね。大野さんと離れた方が良いなんて
いい加減な事言って・・・」
「あ、ううん。だってあれは俺の事を心配してくれて言ってくれた事だし。」
「大野さん、直ぐに釈放されるといいね。」
「うん、ありがと。」
それから3人で暫く酒を飲んで布団に入ったけど
枕が違うせいか、目が冴えて全然眠れない。
というか・・・大野さんが恋しくて逢いたくて
考え始めたら余計に寂しくて眠れそうにない。
あなたも俺に会いたいって思ってくれてるかな?
俺の事一瞬でも考えて、眠れずにいるかな?
続く