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truth 5

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第5話 付き纏う疑惑

 

 


「週刊誌が俺に何の用?」
「あー、すみません。急に押し掛けてしまって驚かれたでしょう?例の事件の事を少しお聞かせ頂けないかと思いまして。」
「事件の事?」
「さっき、あなたとここで話してた方、確か裁判の時に証言台に立たれてた方ですよね?」
「えっ?何で知ってるの?」
「あの最終判決、僕も傍聴席に居たんですよ。」
「ああ・・・そうなんだ。」
「少しだけお時間頂けませんかね?」
「何もお話することは無いですけど。」
「ああ、お話と言っても直ぐに終わりますんで。2,3質問が有るんです。」
「もう裁判は終わりましたから。どうかお引き取り下さい。」

そう言って家の中に入ろうとしたら、背中越しにその記者が俺にこう言い放った。

「あの事件、真犯人は他に居ますよ。」
「えっ?」

俺は真犯人って言葉に反応して直ぐに振り返った。

「何か知ってるの?」
「あ、いや・・・真犯人を見たとか、そういう事ではないです。
でも、僕は初公判からずっと傍聴させて貰ったんですが、
何か腑に落ちないというか・・・あなた自身もきっとそうじゃないかと思って。」
「やっぱ、そうですよね?」
「はっ?」
「あなたもモヤモヤするんだ?」
「えっ・・・あ、はい。モヤモヤというか、どうしてもあの判決のままでは腑に落ちないというか。」
「質問とかしてどうしたいの?記事にでもするの?」
「安心してください。この事件の事は上に相談して話を持ち掛けたんですけど
もう判決が下って終結してるから追うなって却下されてしまったんで・・・
残念ながら記事には出来ないんです。」
「俺と一緒だな・・・」
「はっ?」
「俺も弁護士の人に真犯人の話したら、もうこの事件には関わらない方がいいって苦言されたんですよ。」
「そうだったんですか。」
「まあ、そういう事だからお話したところで俺が二人を殺したって事は何も覆る事はないんで。
それじゃ、失礼します。」
「あっ、待って!だったら一つだけ教えてください。」
「え・・・」
「あなたは催眠ガスを吸わされる直前のことまでは覚えてますよね?」
「それは・・・勿論。」
「凶器とされた鈍器は二人のどちらかが持ってましたか?」
「えっ?わかんないよ。殺害された二人の近くに落ちてたのも俺は気が動転してて
良く覚えて無いんだもの。」
「やっぱり・・・」
「えっ?やっぱりって、何が?」
「裁判では検察側の検証としてあの鈍器が提示されてたけど、
あなたの指紋が付着していただけの理由であなたが揉み合って頭部を殴り
死に至らしめたと断定していたじゃないですか。指紋なんて、後からなんとでもなるのに・・・」
「ホント、そうだよね。でも第三者の他殺となると、それを立証する証拠が何処にもないもの。
目撃者でも居れば別だけど、あの物流倉庫は元々物流会社のものだけど
その会社が破綻して倒産したって聞いてるから、今は借り手も居なくて
幽霊倉庫だと聞いてるし、そんな場所に人なんか寄り付かないの分かってるから
あいつらも俺の事をあんな所に連れてったわけだし・・・
あー、もうやだ。思い出したくないよ。」
「ご、ゴメン。でも話してくれて有難う。」
「本当にそんな事今更確かめてどうするつもりなの?」
「記録を取って、僕なりに推理してみようと思って・・・」
「悪いけど、これっきりにして下さいよ。あなたの推理探偵ごっこに付き合ってるほど
こっちも暇じゃないんで。・・・あっ、そうだ!」
「はっ?」
「ね?それよりどうして俺の自宅がここだと分かっったの?個人情報だから住所とか裁判所が教えるわけないだろうし。」
「あっ、そうそう、それを先にお話しなきゃいけなかったですね、すみません。
二宮さん、相葉くんってご存知ですよね?」
「あいば?」
「ええ、相葉雅紀。」
「小学校の時同じ少年野球のチームだった子に相葉くんって居たけど・・・それが?」
「彼、僕の後輩で、同じ編集部で働いてるんですよ。」
「えええ?そ、そうなんだ?」
「今回の事件を知って、彼が一番驚いてました。」
「相葉さん、元気にしてるんだ?」
「ええ。あ、今回も一緒に連れて来ようと思って誘ったんですけどね。
どんな顔して逢ったらいいのか分からないって、
あなたが落ち込んでるんじゃないかって凄く心配してました。」
「そっか。昔の友達ももう俺なんかには関わりたくないんだよ。」
「相葉くんはそんなことないと思いますよ。あなたのこと凄く良いヤツって言ってました。
だから信じられないって・・・僕はそれを彼に聞いたから真相が気になった。」
「相葉さんに宜しく伝えて下さい。俺は大丈夫だからって・・・」
「分かりました。僕から伝えておきますよ。
何か力になれる事があれば、何時でも遠慮なく言って下さい。
今日はお時間捕らせてすみませんでした。」

その櫻井という人は深々と頭を下げて帰って行った。
事件の一連のあらすじを知ってる人は、この事件が不可解な事に気付かないわけがないんだ。
だけど、真犯人の存在を誰かが指摘したら、あの裁判は長期戦になって
俺は拘置所からずっと出られなかったかもしれない。
外野が真犯人を特定したところで、確証がなければ話がややこしくなるだけ。
それが分かってるから弁護士の松本さんも手を引いたんだ。
時間を掛けて真犯人を探すより、一日でも早い社会復帰をと考えてくれた上での結論。
だから、俺だって真相を知りたいのは山々だけど
もう俺の人生にこの先一切影響しないのであれば、
今後真犯人探しなんて余計な事はしないって心に決めた。

続く

 

妄想小説が好きで自身でも書いています。 アイドルグループ嵐の大宮コンビが特に好きで、二人をモチーフにした 二次小説が中心のお話を書いています。 ブログを始めて7年目。お話を書き始めて約4年。 妄想小説を書くことが日常になってしまったアラフィフライターです。

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